NHK 古武道

                  お茶 その至福のとき





 メニュー


 水について


 

 お茶について



 お茶の入れ方



 水について



 茶器について



 お菓子について



 茶器の紹介



 自己紹介   



 リンク集



 サイトマップ


                     日本文化に対する私見



マスコミ報道について・・・・NHK(その2)古武術のこと


今まで述べてきた我が日本文化の形骸化や衰退の原因を辿ってみれば、その一つの要因としてマス
コミ報道の無責任さ、いい加減さ、そして、何より大きく影響したことは、それらに携わる人達の道徳的
退廃や感性の劣化が挙げられます。

テレビにしても視聴率を気にするあまり、奇をてらったきわものや、本筋から外れたものを、如何にも
大げさに、さも伝統もあり価値もあるもののように報道します。そこには視聴者に対する道義的責任感
のかけらもありません。

例えば、一時期、古武術家と称して、様々なパフォーマンスをやってみせる人物がNHKに取り上げ
られたことがあります。
驚くべきことに、天下の公共放送のNHK教育の番組に一週間にわたって紹介されました。

民間放送ならまだしも、最も正確な情報を提供すべきNHKがこのような人物を、しかも、教育番組で
取り上げたことの無責任さは実に驚くべきことと言わなければなりません。

では古武術とはなんでしょうか。
残念ながら、柔道や剣道、空手や合気道などの現代武道の陰に隠れて、その実態はほとんどの人に
知られていないのです。

しかし、真に純粋な日本文化の一つと言えるものがこの古武術なのです。現在では、古武術と
呼ばれることは少なく、一般には古武道と呼ばれています。

日本全国には、この古武道各流派が未だに健在で、古武道振興会、古武道協会の二つの団体に
所属して定期的に演武会などを行っています。

正統派の古武道各流派は、この二つの団体の何れか、或いはその両方に所属していますが、
この世界で本物と認められるには、これらの団体の厳正な審査を受けて、入会することが最低の
条件となります。

この古武道とはどの様なものかということを簡単に説明しますと、その条件の第一は、その歴史の
古さです。
幾つかの明治以降の流派を除いて、そのほとんどは、江戸時代、古いものでは」室町、戦国、
安土桃山の時代まで遡るものもあります。

大別して、剣術、柔術、薙刀、弓術、砲術、槍術、居合い等があり、例えば、剣術では、鹿島新当流、
天真正伝香取神道流、柳生新陰流、真庭念流、天然理心流、小野派一刀流、北辰一刀流。
柔術では、竹内流、柳生心眼流、諸賞流、天神真揚流等、実に多種多様であり、その技法も多岐に
わたります。

この中には、映画やテレビ、時代小説や講談でお馴染みの流派がありますが、その実態はほとんど
知られていないというのが実状です。

そのため、時代劇や時代小説では、全く事実とは違うことが描かれ、多くの人達が、その間違った
ことを真実と信じています。

この様に、ほとんどの現代人が、古武道の本当の姿を知らないのをいいことに、この上記の古武道
の団体にも所属せず、僅かな年月をある古武道の流派をかじっただけで勝手にいろいろな技を作り、
もっともらしく本を書き、有名スポーツ選手を指導し、高名な学者と対談して本を出版したという
だけで、あのようないかがわしい人物を信用し、教育番組に出演させるような愚を犯したNHKの
担当者の責任は重大です。

ここでは、その技の優劣を云々するつもりはありません。しかし、この人物がテレビで披露したパフォー
マンスの数々が、古武術、或いは古武道と思われては困るのです。

あれは、本人がいくら強弁しても、古武術でも古武道でもありえません。
何故なら、古武道とは、数百年もの年月をかけて我々の先人達が工夫して創始し、何代にもわたって
練り上げ、守り伝えてきた技法ではないからです。
あくまで、この人物が古武術と私称してはばからないものは、ある古武道の流派の技を下敷きにして
いるとはいえ、この人の創意工夫によるもので、古武術とは全く別物なのです。
これを古武術と呼ぶことにより、正統な古武道各流派について、誤った認識を一般大衆に与えること
こそ最も避けなければならないことだと思います。

NHKのこの放送の担当者は、何故、企画の段階で、この古武道の正統な二つの団体に相談、
もしくは意見を求めなかったのか、報道人として余りにも軽率な行動と言わなければなりません。

NHKは、多くの視聴者に古武道の正しい姿を伝えることなく、似て非なるものを古武術などと称して
誤った報道をし、古武道各流派の弘流に計り知れない悪影響を及ぼしたことは、大いに反省して
しかるべきでしょう。

これには後日談があります。
恐らくこの一連のNHKの放送の結果も大きく影響していると思われますが、この人は、関西のある
名門女子大学の客員教授となっています。

古武道界ではまともに相手にもされなかったような人物が、この世界に何の知識もない学者や
スポーツ選手、芸能人相手に、派手なパフォーマンスで信用させ、あげくの果てには大学で、将来
日本の知性を担う学生たちに、彼の創作した大ボラを教えることとなってしまったのです。

まだ、放送の場合はその放映の時間が終われば後に残ることはありません。

百歩譲ってこのことはまだ許せるとしましょう。

しかし、大学で教えるとなると話は全く別です。純真無垢な学生に、古武術と称して彼の頭から絞り
出した与太話を教えることは決して許されることではないのです。

NHKで放映されるまでは、彼は古武道界からまともに評価されることもなく、ただ、数多くの本を
出しただけで、さほど大した影響はありませんでした。
ほっておけば、この類の人物は時間の経過とともに自然消滅するはずでした。

ところが、NHKで放映されたことにより権威づけられてしまった結果、すっかり彼の「古武術」
なるものが正統な古武道として多くの視聴者に印象づけられ、地位を築いてしまったのです。

このまま放置すれば、このまがい物の古武術が、無知な一般の人達のあいだに広まり、益々
正統な古武道が正しく理解されることがなくなってしまいます。

尤も、このように書いたからといって、決して、この人物が悪いと言っているわけでも、非難している
訳でもありません。このようなうさんくさい人物はどこの世界にもいます。ほっておけばあまり影響も
なかったものを、わざわざ掘り起こして世に広めた、このNHKの番組の放送責任者が悪いといって
いるのです。

つまり、放映する対象物の真贋も見分ける事のできない人物が、民放のまねをして視聴率を稼ぐ
為だけに、耳目人を驚かせるようなきわものを教育番組に取り上げ放映したことが、何よりも愚かで
あり、その責を問われるべき行為なのです。
このことからも、NHKのこの番組の放送責任者の行為は決して許されるべきでありません。

実は、上記の一件については、つい最近まであまり気にもとめていませんでした。

ところが、つい先頃、合気道を稽古している人と話す機会がありました。何気なく言葉を交わしている
うちに、件のNHKの放送に話が及びました。

驚いたことに、その人は、古武道と言えば、上記の某氏の「古武術」なるものを、正統な古武道であると
信じ切っている様子でした。何故そう思うのですかと聞いたところ「NHKで放送したから」という答えが
返ってきました。
私が考えていた以上の事の重大さに驚き、武道場で会う空手や居合道を稽古している人達にも同じ
質問をしましたが、答えは同じでした。

この事実に危機感を覚えた結果、正統な古武道とは何かと言うことと、NHKが弘めてしまった間違い
を、せめて、このサイトを読んでいただいている皆様にだけは知っていただこうと思い、ここに簡単に
説明した次第です。
いささか場違いとは思いましたが、黙って放置しておくわけにはいかず、あえてここに付け加えました。








日本文化 【お茶 その至福のとき】HOMEへ